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全教科一斉にあるテスト返しの日。その日はテスト用紙の返却と解答説明だけで授業や部活もなし。午前中で放課後を迎え、あとは皆がはしゃぐだけの日でもある。


「小夜、帰ろっ」


赤点を免れて心軽く、意気揚々と荷物をまとめて小夜の席へ跳ねる。


「みのり、これから部長会議があるから先帰ってて」


「え~、またなの?」


「そう。またなの。大輔がね、ひとりだと嫌なんですってよ」


「じゃあ、大輔にはひとりで行ってもらうとしよう。そしてどっか遊びに行こ?」


「駄~目。私はみのりと大輔と幹二くんには平等に甘いんです。じゃあね。幹二くんにも言っておいてね」


見送った小夜の後ろ姿は凜としていて、わたしはなんだか寂しくなる。


こうして、少しずつ、それぞれがしなくちゃいけないことは違ってきて、皆でいること、四人でいることも減っていくんだ。


当然なこと、順当なこと。


寂しくなんかない。