十二月。
今年最後の一枚のポップなカレンダーは、クリスマスイブと当日がとてもカラフルに彩られていた。赤と緑、他にも色とりどりの彩飾で。
『一緒に過ごしませんか?』――あの声が頭に響く。
日一日と寒さが増していく朝の登校時間、玄関を開けると、門扉の外ではマフラーで口元まで覆っている百瀬。着ているものこそ違うものの、夏から変わらない姿がそこにあった。
「みーちゃん、おはよう」
百瀬が口を開くと黒縁眼鏡のレンズが白く曇る。マフラーがマスクと同じ効果を出しているらしい。
「おはよう。ラーメン食べるときもそうなるよね」
「今の時期、温かいものだと全般だけどね。ラーメンは昨日の夜中まさしくそうだった」
気まずくなるのが嫌で、わたしからそうなるような話題は出さない。百瀬も、何も言わない。
「テスト勉強?」
「うん。って、みーちゃんは? 今はテスト期間じゃないか 」
「暗記したから大丈夫」
「……英語だもんね。今日は」
その教科が嫌いなわたしは、教科書の範囲を丸々暗記する。そうすれば七十点は固い。……でも、今回はあまり作業がはかどらなかったから期待はしてないけど。