おじいちゃんは、我が高校の生徒たちの人気者。


この高校の元校長先生で、少し離れたところに建つ立派なお宅に住んでいる。あれはお屋敷といったほうがしっくりくる大きな家だ。


おじいちゃんは朝と夕方の散歩の途中で、校門近くにあるバス停のベンチに座って休憩をする。その際に、小説を片手に持ちながら、話しかけてくる生徒と会話を交わす。


おじいちゃんとのやりとりは、先生とのそれより中身が濃く、とても楽しいのだという。


わたしも、顔を合わせれば挨拶はしていた。


いつも慈しんでくれるようなその表情は、わたしも大好きだった。






……それが一転、今朝の出来事となった。