扉まで後退りをして逃げ出そうとした。だって間宮くんがなんだか怖く感じてしまって。


「っ!!」


「逃がさないよ。こんなチャンス滅多にないんだ。いつも日紫喜はひとりじゃないから」


けど逃亡は阻止される。


電気を点けたほうがよくなってきた教室。わたしには陰が覆い被さって……。


「試しに、ボクというアイツ以外の存在で、比較してみたらいい」


「間宮くんっ」


もう間合いなんてほとんどなくて。


「冗談ではないから、覚悟して」


「間宮くんっ!!」


「嫌なら逃げればいい」


分かってる。けど、足が地面から生えた鉛みたいで……声も、出にくくなって。




追い詰められた状況の中、


「みーちゃんっ!!」


それはまるで何かのヒーローみたいなタイミングで。


「っ……もっ……」


――なんで、いつもそんなにタイムリーで、いつも優しすぎるのだろう、



百瀬は。