家に入ると、買い物帰りの母が、食材を冷蔵庫に放り込んでいたところだった。


開けっ放しの冷蔵庫から麦茶の容器を取り出し、母の隣に立って一杯飲み干して、乾きが癒えてなかったから二杯目を注ぐ。


おかえりただいま、とりとめのない会話をすると、いつものように母から相談される。晩御飯の候補がふたつあって、麻婆豆腐と豚の角煮のどちらがいいか思案中らしい。今の時間からだったら麻婆豆腐だろうと言ってみたら、すんなり意見は通った。角煮はじっくり煮込んでほしいしね。


メニュー決めのついでに、おじいちゃんの件を報告しようかと思ったけどやめた。取り越し苦労かもしれないし、今は、百瀬たちがいてくれるだけで充分だ。




二階の自室で風通しのいい去年もヘビーローテーションだった水色のワンピースに着替える。ひと息つこうとベッドに転がったら、晩御飯を知らせてくれる声がするまで爆睡してしまった。


眠っている間、今日の出来事を事細かに夢に見た――