それから数日後、霧河はいつものように仕事へ向かう。今日は、12月6日(月)だ。





会社でも、「クリスマスプレゼントは〇〇が

・・・」などという声が何人もの人から聞こえてきた。





その中には、霧河と同じように、幼い頃、サンタクロースを信じていた者、

子供がいて、その子供にクリスマスプレゼントを渡す者もいる。





霧河は、(へ~。やっぱり、大人でも、クリスマスが好きな人が多いんだな)と思った。





ある女性社員が霧河に

「霧河君、サンタさんって、本当にいると思う?」と尋ねてきた。





それに対し霧河は、

「あ~、昔は信じてたよ」と答えた。女性社員は、「そっか。私と同じね」と言う。

霧河は、

「え?」と言った。





女性社員は、「だって、

そもそも、良く考えたら、遠い国から空飛ぶソリで色んな国に行って、たくさんの家の子供達にたった一日でプレゼントを渡すなんて、出来るワケないし、疲れるじゃん(笑)。

しかも、おじいさんがよ(笑)」と言った。





「確かにそうだね(笑)」

「でも、あたし、何であの頃は本気で信じてたんだろ?」

「・・・・・・」





その時、霧河は、自分と彼女が重なった。

(そうだよな~・・・俺も昔は本気でいると思ってたんだよな~・・・)と思った。





彼女は、「でも、毎年、自分が寝てる間に

枕元にプレゼントを置いてくれてたのはお母さんだって知った時はショックを受けたわよ。

〝サンタさんはいなかったのか〟って。でも、

プレゼントをもらえるなら、別にサンタさんがいない事には困らないのに。何でだろうね?(笑)」と言った。





それを聞いて霧河は、

(確かに。言われてみれば、そんな事考えた事なかったな。そういや何で、クリスマスにプレゼントをもらう時は、サンタさんにもらいたいんだろ?別の人からもらっても、欲しいモノは手に入るのに)と思った。





それは、霧河が今まで抱いた事のない疑問だった。





やがてその日も夜になり、仕事が終わった。

伸びをして、「ん~!疲れた~!今日も仕事が終わったな~!!」と言った。