「いえいえ!じゃあ、名前はどうする?もう、これからは、

窓河君のお店だから、窓河君の好きな名前にして良いのよ」

「そっか。じゃあ・・・・・・〝窓際族〟!

〝喫茶窓際族〟で!!」

「え?ホントにそんな名前で良いの!?」

「あ~!良いさ~!!だって、君が〝窓際族〟って俺の蔑称を〝孤独のヒーローみたいでカッコ良い〟って言ってくれたんじゃねぇか!!それに、喫茶店って、窓から景色を見るのも楽しみの一つ

だから、そういう意味でも喫茶店には合う名前だろ?」

「そう・・・・・・?」

「じゃあ、この名前は、ありがたくもらうぜ!!これからバリバリ働くからよ!!そんで、稼いだ金の一部は、

君や君の家族に渡す!!

そしたら、家計も支えられて、一石二鳥だろ!?」

「そこまでしてくれるの!?なんて優しいの!?

ありがとう!!!」

「いやいや!!どうって事ないよ!!お礼なら、むしろ、

こっちが言いたいよ!!!」

「でも、言い忘れてたけど、

問題が一つだけあるけど、どうする?」

「ん?問題って?」

「誰かの建物を別の誰かに譲ろうと思ったら、

そこそこ税金がかかるでしょ?」

「あ、そっか~。でも、俺、実はギャンブルが好きで、

どのギャンブルでも、思いっきり当てた事はねぇけど、宝くじで

ちょっと、競馬でちょっと、株取引でちょっと儲けて、

これまでの仕事でのささやかな貯金もあるし、全部合わせれば、160万ぐらいはあると思うし、それで払うよ。

「そんな大事なお金を・・・ごめんね・・・ありがとうね・・・」

「良いよ良いよ!!」

「私も、たまに手伝うから!!」





こうして、窓河は、

彼女の祖父母が営んでいた喫茶店を譲り受け、店の名前を変えて、〝喫茶窓際族〟を開業した。





それから時間は流れ、彼女は、

とある洋菓子店で知り合ったという、日本語も堪能なフランス人と結婚し、フランスへ移り住んだのだ。





そして、彼女の祖母も、

今はもう、亡くなってしまっている。