それから5年後の1984年。彼女の祖父は、

病気で死んでしまった。胃ガンだった。

祖母はまだ生きているが、〝うつ病〟にかかっており、もうかなり進行していて、もう、他人とまともに話す事すら出来ない。

どちらの病気の事も、彼女は知っていた。





「病気だったのか」

「うん」

「でも、おじいちゃんは、最後まで頑張って生きた。それに、

窓河君の事、凄く気に入ってたわよ!!私に〝あんな良い友達が

いたのか!!〟って。おばあちゃんもだけど」

「そうなんだ」

「あと、前に、何度もウチでお茶会したけど、

窓河君は、いつも、お菓子作るの手伝ってくれて、どれも、

あまりにも美味しかったから、

〝いつか自分が死んだら、もし良ければ、窓河君にあの喫茶店を

営んでくれたら良いな〟って言ってた」

「え!?そんな!?俺に!?いやいや!!

出来ないよ!!そんなの!!」

「そうかな?私は、素質あると思うんだけどな~。でも、窓河君、今、会社の仕事もあるから、夜だけ開店するお店とか?それか、

休日だけ開けるとか?」

「いや、良いよ。遠慮しとく」





窓河は、それからさらに1年後の1985年。

窓河は、ある日、窓河を嫌う上司の策略に

ハメられ、「Wind’s Delivery」を辞めさせられる事に

なってしまった・・・窓河は、絶望した。ただただ、絶望した。





「そ、そんな・・・、やっと、この仕事に

ようやく慣れてきたっていうのに」

イヤミな上司は、ほくそ笑みながら

「悪いな。じゃあ、今までお疲れ様でした」と、

窓河に皮肉を言った。