そう言って、そのまま、窓河は、運送会社

「Wind’s Delivery」に就職した。



コンセプトは、その名の通り、

「風のように速く」である。





しかし、窓河は、

その会社で働いても、

学生時代と同様、なかなか他の人達と上手く打ち解けられず、

手際が悪いため、商品を上手く様々な家に届ける事が出来ず、

同じ職場の人達だけでなく、

お客さんにまでしょっちゅう迷惑をかけて、とにかく、

何かとただただ誰かに謝って、頭を下げるばかりの日々だった。





「すみませんでした!!!」と言い、

自分の机の前のイスに、大きなため息をつきながら座る。

「はぁ。もう、これで、この会社で頭を下げるの何回目だろ?」





窓河は要領が悪く、事務作業も遅いため、しょっちゅうの事だが、

その日も、遅くまで働いていた。

仕事を終えた後、帰ろうとすると、窓河の同期の女性社員が

「お疲れ様!!!」と言って、コップに入った水をくれた。





「あ、ありがとう」

〝ぐぐぐぐぐ〟

「プハ~ッ!!」





窓河は、そのコップの中の水を見つめた。





「アレ?コレ、いつも俺達が飲んでる水道水と変わんねぇよな?」

「そうだけど」

「今、飲むと、何でこんなに美味いんだろ?」

「頑張って働いて疲れた後だからじゃない?」

「そうなのかな~?」