「君の名前は何?」

「私は、〝河合愛かわいあい〟」





(まるで可愛いモノを愛しているかのような名前だな)





「良い名前だね!!」

「ありがとう!!お兄ちゃんの名前は?」

「俺は〝網田謎留あみだなぞる〟」

「へ~!カッコ良い名前!!ミステリアス!!!」

「え?君は〝ミステリアス〟の言葉の意味を知ってるの?」

「うん!私が読んだ小説に書いてあったよ!!

私、小説、大好きなんだ!!」

「へ~!その年で小説をいっぱい読むなんて偉いね!!

俺、小説なんて、昔から全然読まったから」

「そうなんだ!でも、お兄ちゃん、私が一番好きな小説の主人公に良く似てる!!」

「そうなの?」

「うん!!ファンタジーが大好き!!!でも、その小説は、

今言ったのじゃないんだけどね」

「そうなのか」





「今言った〝ミステリアス〟って言葉が書いてたのは、タイトル忘れちゃったんだけど、

お兄ちゃんに似てる人が出てくるのは、

〝私の幻想はホントにあった〟だよ!!どう、

お兄ちゃん、普段小説を読まないみたいだけど、読んでみる?

私はもう、何回も読んじゃったし!!」





愛は、その小説を本棚から取り出し、霧河に渡そうとする。





だが、霧河は・・・





「良いよ。君の大切な本なんだろ?それに、

俺はサンタクロースだから、他人からモノをもらわない事にしてるんだ。そうじゃないと、サンタクロースって言えないだろ?」

「そっか~・・・うん・・・」

「でも、気持ちはありがとうね!!だから、

その小説は、今度、本屋で探して、自分で買うよ!!」

「うん!!ぜひ、読んでみてね!!」

「読むよ絶対!!じゃあ、愛ちゃん、これからも頑張ってね!!!」

「うん!!謎留お兄ちゃんも頑張って!!!」

「おう!!!」





そう言って、霧河は去っていった。