「う、う~ん・・・」





音を立てたせいで女の子が起きてしまった。





「あっ!いっけね!!」





慌てて壁にぶつかった霧河は、誤って蛍光灯のスイッチを

押してしまった。





「ワ~ッ!!」と女の子が叫ぶ。





そこでまた

霧河が女の子の口を霧河自身の手で抑え、

「シ~ッ!!」と言う。





もう、本日3度目だ。





(毎度、子供が叫ぶ度にこれだから、ホント焦るな~)





「ねぇお兄さん、一体誰なの?」

「俺は〝サンタクロースパイ〟さ!!」

「へ~」





今回は、いつも言われる言葉がない。





「ねぇ、ひょっとして君、〝スパイ〟って

言葉を聞いた事がある?」

「知らな~い」





霧河はここでまたズッコケた。





「知らねぇのか~!!」と思わず大声を出してしまった。

今度は女の子が「シ~ッ!!」と言う。





「あ~!悪りぃ!!悪りぃ!!」

で、会話をした。





「お兄ちゃん、サンタさんなんだね!!

サンタさんって、若い人もいるんだ!!!」

「ま、まぁね!!」

「でも、サンタさんって、赤い服を着てるんじゃなかったっけ?」

「あ~、まぁ、本来ならそうだね。でも、まぁ、〝サンタクロースは赤い服を着なきゃいけない〟って決まりはないからね」

「そっか~」

「うん。そうだよ。でも、黒いサンタクロースも悪くないでしょ?!」

「まぁね!!カッコ良いと思うよ!!!」

「ありがとう!!!」





霧河は嬉しそうに笑いながら言った。