やりたいなら素直にそう言えばいいのに……と思ったけれど、伊藤くんに限ってそんなことを言うわけがないとすぐに思い直した。
「おい、山下からも何か言ってやれよ。お前も嫌だろ?」
これでもかとクラス中の注目を集めた後、伊藤くんはそう言って私に話を振ってきた。そのせいでみんなの視線がまたも私に向けられてくる。
「いや、その、嫌というか、えっと……」
どうしよう。なんて答えるのが正解なんだろう。注目を浴びているせいでうまく考えがまとまらない。