やる、やらない。どちらに転んでも最悪としか言いようがない。
それもこれも全部櫻井さんのせいだ。
彼女はいつも良かれと思って私を困らせる。昨日だって、今日だって、その前からずっとそうだ。迷惑だなんて気づいてもくれない。
「勝手に決めんなよ。ふざけんな、誰がこんなことやるか!」
うんざりしていると、煮えたぎったような怒りの声とともに机を蹴る荒々しい音が教室中に響き渡った。私に向けられた視線は一気に廊下側の席へ向けられていく。
助かった。音には驚いたけど、伊藤くんが断ってくれるなら話は早い。私に不満が向けられることもない。
クラスメイトたちに釣られるようにして私も首を動かすと、拳を握り今にも人につかみかかりそうな伊藤くんの姿が目に入った。けれど――

『文化祭実行委員とかめっちゃ楽しそうだな!』

彼の本音はウキウキだった。