日誌なんて、櫻井さん以外はみんな適当に書いているのだから別に思いつめなくていいのに。本当に損な性格だ。
とはいえ転校してきたばかりで、しかも周りに味方がいない状態で仕事をやる羽目になれば悩むのも無理はないのかもしれない。根が真面目ならなおさらだ。
「日誌、適当でもいいと思うよ。二文か三文くらい書けば先生からも何も言われないし」
「そんなことわかってるんだよ。いいから手伝ってくれ」
わかっているなら呼び止めないで……と思いつつも、私は彼が何もわかっていないことをわかっているんだけども。
「うーん、じゃあちょっとだけ待ってね。先に戸締りとかやっちゃおう?」
「おう」
……あぁ、結局手伝うことになってしまった。