今日の授業が終わり、チャイムが鳴るとみんながいっせいに肩の力を抜く。
授業前後の号令を「きりーつ」「きをつけー」と適当にこなす伊藤くんを先生が叱る以外は特に目立った問題もなく、伊藤くんの日直は無事終わりを迎えた……かのように思えた。

『一日の反省って何を書けばいいんだろう……』

廊下側の席では、日誌を睨みつけながら伊藤くんが再び頭を悩ませていた。
前日の人が書いた文章を見てもどうにも勝手がわからないらしく、ぺらぺらとページを行き来してはため息をついている。
先生からも生徒たちからも不良と思われているのだから、適当に書いちゃってもどうせ誰も気に留めないのに。
それでも真面目に考えてしまうのが伊藤くんなのかもしれない。ノートだってしっかり書いていたし。