「今日はみんなに新しい仲間ができるぞ! 伊藤、入ってきていいぞー」
揚々と宣言し、先生は大手を振って教室の外で待機していた生徒を呼び込んだ。
「うっせえな」
ふてぶてしく教室に入ってきたその生徒は、どこからどう見ても不良とわかるような格好だった。
ボタンを閉めずに着崩したワイシャツ、制服のズボンには白く派手なベルトがつけられていて、腰にはチェーンまでついていた。
黒髪オールバックのせいで眉間にしわのよった威圧的な表情がよく見える。私より頭ひとつぶんくらい身長が高いのもあって迫力満点だ。
……いまどき不良ってまだいたんだ。ちょっと驚き。
「俺の席どこだよ」
伊藤と呼ばれた生徒は挨拶もせずにきょろきょろと教室内を見渡した。