二回目の質問に、コップを置いてから私はすぐ答えた。


「あるんじゃないかな」


パラレルワールド。


高校時代、学年主任の先生が、入学してから初めての学年集会でこう言っていた。


『人生は二者択一です。勉強をする、しない。大学に進学する、しない。…様々な二択がありますが、どちらを選択するかは皆さん自身です』


詳しい話は忘れたが、その言葉に納得したのを覚えている。


つまり、パラレルワールドとは、自分が選択しなかった世界を生きる、もう一人の自分。


目の前にAとBの二択があり、私はAを選びAの世界を生き進む。しかし、その選ぶ瞬間、自分がBを選択していた可能性もあるわけだ。



そこで別の世界が生まれる。別の世界とはその時選ばなかったBの世界。その世界を生きているのが別の私だ。


過去や未来に行き来するタイムマシンより、現実味がある話だと思っている。




「パラレルワールドがあったら、どうするの?」

「どうするっていうか…。いつの自分に戻って、選択を変えたい?」

「そうだなぁ…」