次の日、朝のホームルームが始まっても愛美里は学校に来なかった。

 なんだか胸騒ぎがする。

 リュウゴと何かあったのだろうか。

 それを考えると、落ち着かず一時間目の授業が上の空だった。

 休み時間に、スマホからこっそりとリュウゴにメッセージを送ってみた。


――昨日、愛美里と何かあったの?

すぐに返事が返ってきた。

――無理に家に押しかけてきたけど、おばあさんが相手してくれた。僕がお茶を用意している間にすでに姿が見えなくなったんだ。

そうだ、リュウゴはおばあさんと一緒に暮らしていた。

 そういえば最近手がつけようのないくらいぼけ出して近所でも迷惑をかけていると言っていた。

かわいそうなおばあさん。

 若いころは綺麗だったらしいけど、歳には敵わない。

 私もお世話になったのに、こんな形になってしまって哀れだ。

 私は同情せずにはいられなくなった。


――おばあさん、大丈夫?

――うん。昨日はちょっと興奮して、ぐったりしてた。でも今は薬飲んで落ち着いている。


 リュウゴは懇親的におばあさんの介護をしている。

 おばあさんだけがずっと一緒に暮らしてきた家族だからだ。

 恩返しのつもりで最後まで責任もって面倒を見ると言っていた。

 その最後がそろそろ近いのかもしれない。


――ねぇ、久しぶりにおばあさんに会いに行っていい?

――いいけど、あまりいい状態じゃないよ。今はもう寝たきりになってる。見ていると君の方が辛くなるかも。


 でも、リュウゴの家族としてずっと暮らしてきた人なんだから、私も邪険にはできない。

 リュウゴとの思い出を共有した人。

 敬意をもって僭越ながら私も見送って上げたい。

早速今日、学校が終わってから会いに行くと伝えておいた。