リュウゴ、ねぇ、なんとか言ってよ。

 それともこの三角関係を楽しんでいるの?

 はっきりといえないまま時間だけが過ぎていった。

 私も愛美里も今はまだ学生だから暗くなる前に帰らなくてはならない。

 早く大人になって堂々とリュウゴと付き合いたい。

 リュウゴは本当に私をその時まで待っていてくれるのだろうか。

 それを愛美里が邪魔をしようとしている。

 自分が美しいとわかっているから、自信に溢れリュウゴを私から奪えると思っている。

 こういう愛美里みたいなタイプは自分が痛い目に遭わなければ懲りないだろう。

 いつまでも邪魔をされるなんていやだ。

 私が悶々としているのとは対照的に愛美里は余裕綽々だった。

 リュウゴと別れて愛美里とふたりだけになったとき、愛美里はわざとらしく「あっ」と突然声を出した。

「ちょっと寄るところがあったんだ。また学校でね」

 さっさと私から離れていく。

 どこへ行ったのか私にはわかっている。

 リュウゴの家だ。

 愛美里は頭の回転が速い。

 先を読み取り、さっさと意のままに行動する。

 根掘り葉掘りリュウゴから情報を聞き出し、

 家の場所をすでに突き止めている。

 家が正確にわからなくても、あれだけ人の目を引く風貌だから近所の人に聞けば知っている人もいて、家を見つけるのに時間はかからないだろう。

 私も追いかけた方がよかっただろうか。

 でもここは我慢することにした。

 私はリュウゴを信じている。

 リュウゴの好みの女性は私だ。

 リュウゴはきっと私の内面を見てくれるに違いない。

 外見なんかただの入れ物だ。

 だから私は約束した通りにしっかりとした大人になろうと思う。

 もっともっと自分を磨かねば。

 私だってまんざら悪くないよね。

 街のショーウインドウに映った自分の姿を私は暫く眺めていた。