悪夢はカモミールティと一緒に

「そうかな」

 一応は謙遜してみるけど、褒められるのはやはり嬉しい。

 性格はどうであれ、愛美里は私の目からみても美しいと思える女の子だった。

 そんな子から認められるのは光栄だ。

「一体何があったの? 以前のあなたは冴えなくてうじうじしてたのに」

 はっきりと言ってくれる。

 私そんなにいけてなかったのだろうか。

 でもずけずけと言われるほうが却って笑えてしまう。

 私もそれなりに大物なんだよって知らせてやりたい。

「恋をしているからかな」

 私にはリュウゴがいる。とっても素敵な彼なんだから。

「恋? 彼氏ができたの?」

「私はまだ高校生だから、私が大人になるまで彼は待ってくれてるの」

「年上の人? へえー、やるね。どんな彼なの? 写真とかないの?」

 写真……。そういえばまだ一緒に撮った事なかった。私は首を振る。

「かっこいいの?」

「もちろん」

 そこだけは自信を持って言える。

「桜庭さんは彼氏いるの?」

「いない」

「なんか意外。桜庭さんだったらもてそうなのに」

「言い寄ってくる人は確かにいるけど、全く好みじゃないの。私も年上の人に憧れるな。いいな、高宮さんは」

 愛美里はどこか半信半疑に私を見ていた。

 どこまで信じていいのか戸惑っている。

 でも確かに私は変わったから、恋をしていることは嘘ではないと思っている様子だ。

「高宮さんが変わるほどに恋した年上の彼。益々興味津々になっちゃうな。是非とも会ってみたいな」

 私は愛美里の好奇心を刺激したようだ。

 物怖じしない愛美里はどこまでも自分の欲望を押し付けようとする。

 まだ私のどこかに思い通りにできる従順さがあると感じているのだろうか。

 それともクラスで急に成績が上がった私にマウントして、自分の方が上だと知らせようとしているのだろうか。

「いつかね」

 私は適当に答えてはぐらかす。

 もし愛美里がリュウゴに会ったら、絶対に恋に落ちてしまう。

 リュウゴは女性の心を掴む力を供え持っている人。

 一度リュウゴと声をかわせば魔法がかかったように心が奪われる。

 私がそれを一番よく知っている。

 もしリュウゴが愛美里に会えばどう思うだろう。

 私よりも愛美里の方が美人だしスタイルもいい。

 愛美里が自分に近づくとなんだか急に不安になってくる。

 ここまで変われても、元々与えられた美しい容姿には敵わない。

 愛美里はそれをわざとらしく私に見せ付ける。

 愛美里が私に近づいて暫くしたとき、どこからか噂を耳にした。