私は冷蔵庫から、小さめのケーキを取り出した。

甘いものが苦手な賢人の為に、一人用の小さめ。

しかも、チョコレートケーキ。

「はい、どうぞ。」

賢人の目の前に、そのケーキを置いた。

「うぉっ!」

生クリームの、通常サイズを考えていた賢人は、想像とは違うケーキに、驚いていたと言うよりも、身を引いていた。

「よく僕が生クリームよりも、チョコの方がいいって、知っていたね。」

「いつも見ていれば、分かるわ。賢人は、デザートを買って来ても、チョコは食べるけれど、生クリームは残すもの。」

そう答えると、賢人は嬉しそうにしていた。


「じゃあ、乾杯しましょうか。」

いつもの缶ビールを開け、二人で乾杯をした。

「賢人、お誕生日おめでとう!」

「有り難う、珠姫。」

賢人はものすごく、緊張していた。