その次の水曜日。

私はリハビリの前に、街に買い物に出掛けた。

もちろん、賢人の誕生日プレゼントを買う為。

本当に迷った。

その中で、『そろそろ、新しい時計買わなきゃな。』と、賢人が言っていた事を思い出した。


街の中にある時計屋さんは、見覚えがあった。

たぶん、以前に時計を買った事があるのだろうと、漠然に思っていた。

前は思い出そう、思い出そうという気持ちが大きくて、絞り出しても出てこない、スランプの作家みたいな気持ちだった。

今は頭の中から、ふと思い浮かぶ事を、待っているような感じ。

そして、“以前来た事が、あるかもしれない”と言う考えは、意外と的中した。


時計が飾ってある棚を、一つずつ見てまわっている時、ある場所で、激しい頭痛に襲われた。

「……っ!」