ばつが悪そうに、背中を向けて歩き出した賢人。

それに私は、着いていく。

賢人の車は、出口の一番近くに、停めてあった。

「今日は、いい場所に停めたわね。」

「たまたまだよ。」

助手席のドアを開けてくれるところ、賢人は変わらない。

私は荷物と共に、車に乗った。

賢人も車に乗って、走り出す。


いつもの日常。

変わらない二人が、そこにはあった。


「そう言えばね、賢人。」

「うん。」

「賢人の誕生日、そろそろじゃない?」

「よく覚えてたね。」

こっちを向かなかったけれど、嬉しそうな顔をしている賢人。

自分の誕生日を覚えてて貰うのって、誰でも嬉しいよね。

「ねえ、いつだっけ。」

「来週の水曜。」

「じゃあ、その日は誕生日のお祝いしよう。」

「いいよ。」