「そしてその後に、珠姫をお風呂に入れて、髪を乾かして、家に帰る。」

私達は、見つめ合いながら、微笑んだ。


「いいわね。二人仲が良くて。」

向かいのベッドのお婆ちゃんが、私達を見ながら、手で顔を扇いだ。

「なんだかお爺さんと過ごした、若い頃を思い出すよ。懐かしいね。こっちまで、顔が赤くなるわ。」

「お婆ちゃん。結婚するまでの間だけですよ。」

賢人は、向かいのお婆ちゃんにまで、真面目に答えていた。


そんな賢人が、私は大好き。

「ねえ、賢人。」

「なあに?」

「私の側にいてくれて、有り難う。」

ふいをつかれた賢人は、嬉しさを隠すように、少しだけ俯いた。

「それは、僕の台詞。」

「えっ?」

「僕の方こそ……珠姫が側にいてくれて、本当に嬉しいよ。」

「賢人……」