私は松葉杖で、一歩前に出た。

「こんな事聞くのは、私もおかしいとは思うのですが……」

私は息を飲んだ。

「賢人は、私が事故に遭う前から、あのような感じでしたでしょうか。変わったところは、ないでしょうか。」

しばらくの間の沈黙の後、二人は笑いだした。

「何かと思えば。」

「賢人は、前からあんな感じだよな。」


二人の笑った顔が、反って私を安心させた。

「そう……ですよね。すみません。」

「いいのよ、いいのよ。」

賢人のお母さんらしき人が、私の腕をさすってくれた。

「でもね、あなたの……」

「母さん。その事はいいから。」

お父さんらしき人が、お母さんの発言を遮った。