「珠姫(タマキ)?」

誰かの声が聞こえて、私は重い瞼を開けた。

逆光で顔までは見えないけれど、シルエットで男の人だと分かった。


「あなたは、誰?」

「誰って、僕の顔忘れたの?。」


もしかして、知ってる人?

その瞬間、頭に痛みが走った。

鈍い痛み。

身体のあちらこちらも、痛みを感じる。


「無理しないで。事故に遭ったんだ。」

「事故?」

全身の痛みのせいか、思い出す事ができない。

「とにかく、今、先生を呼ぶね。」

その男の人は、ナースコールを押すと、私が目を覚ました事を告げた。

「直ぐに来るよ。」

そしてその人は、私の手を握ってくれた。


温かい手。

ほっとする。