私は、賢人が運んできたお粥を、食べられなかった。


これは、私の記憶が間違ってるの?

それとも夢だから、現実と違ったのかしら。


「ねえ、賢人。」

そして私はまた、夢と違う部分に気づく。

髪型が、明らかに違うのだ。

「どうした?何でそんなに、驚くの?」

賢人はお粥の中に、おかずを入れた。

「ほら、珠姫。美味しそうだよ。」

お粥を頬張った後も、賢人を見続けた。

「僕の顔に、何かついてる?」

「……ううん。」

「だったら、そんなに見つめないで。それは僕の、専売特許。」

「えっ?」

「僕は珠姫を、ずっと見ててもいいけど、珠姫は僕をずっと見てたらダメ。」

変な理屈に、思わず笑ってしまった。