「どちらかと言うと、嬉しい夢?」

「へえ。どんな夢か、教えてほしいな。」

そして私の首元にタオルをねじ込んで、スプーンでお粥をすくい、私の口に入れてくれた。

「ふふふ。」

私は左手の薬指を見た。

気づかなかったけれど、指輪があった。

「こ~れ。」

賢人に分かるように、左手を見せた。

「婚約指輪?」

「そう。賢人から、プロポーズされた時の夢。」

照れ笑いをして、賢人はまたお粥を食べさせてくれた。

「あの丘の上だったよね。」

「丘の上?」

私は、左下を見た。


夢の中では、丘の上に向かう途中だったと思うけど、あそこが丘の上だったんだろうか。


「結婚して下さいって言ったら、珠姫は嬉しそうに『はい。』って言ったんだよね。