「珠姫、夕食だよ。」

「……ん。」

賢人に起こされた私は、頬が濡れている事に気づいた。

「私……泣いてた?」

「えっ?」

賢人は棚から、新しいスプーンを出した。

「本当だ。ごめん、気づかなかった。」

私は痛い体を我慢しながら、手を顔を近づけた。

それを見た賢人は、先回りして私の涙を拭く。

「……ありがとう。」

「ううん。僕の方こそ、気が利かなくてごめん。」

賢人は、途中で止まっている私の手を、布団の中に戻してくれた。


「なんか……私、賢人に謝らせてばかり……」

「気にする事、ないってば。」

そして私の横に座った賢人。

「ところで、何で泣いてたの?悲しい夢でも見ていたの?」

「ううん。」

賢人はリモコンで、ベッドを起こす。