「賢人にも、同じ事を聞かれた。『珠姫、元気にしてる?』ってね。」

「賢人が?……」


少し俯き加減で、寂しそうにしながら、こっそりと聞いている賢人が、思い浮かんだ。

会いたくて、涙が出る。


「あれから……珠姫に頬を叩かれてから……いろんな事を考えたよ。」

良人はカレーを少しだけ残して、スプーンを置いた。

「本当は分かっていたんだ。賢人は、俺の彼女を、黙って寝とるような奴じゃない。珠姫も、俺に内緒で、浮気をするような女じゃないって。」

「良人?」

「だから、賢人が珠姫を呼び捨てにした時、二人が付き合っているんじゃなかって。俺がいない間に、何やってんだって。そんな事を考える俺自身も、信じられなかった。」

良人の頬には、涙が溢れた。

「良人、あのね。私達は決して、良人にを裏切るような事は、してない!」