「……変?」

何か言わなければいけないと思って、口から出た言葉は、そんなモノだった。

「……変……では……ない……けど……」

苦しそうに、返事をする良人。

嘘なんて、つきたくない。

「あのね、良人。」

私は床に膝をついて、良人の手を握った。

「賢人は、私が目を覚ましてから、ずっと私の面倒を見てくれたの。」

「珠姫……の……面倒……を?」

「うん。さっき言ってたでしょう?迎えに必要だったら、連絡してって。リハビリの帰りとか、病院から自宅まで送って貰っていたの。」

「そう……だったん……だ……」


嘘はつきたくない。

でも、嘘をつかなければいけない時がある。


「たぶん。私が良人の大事な人だから。賢人も私を、大事にしてくれたんだと思う。未来の……姉弟になるかもしれないじゃない?」

良人は、笑顔を浮かべていた。