眼下には、山と曲がりくねった道。

そして、青空が広がっていた。

『うーん。気持ちいい!』

思いっきり両手を伸ばして、新鮮な空気を吸った。

『どう?気に入った?』

『うん!でも、もうちょっと、何かあったらなぁ。』

私は、わざと賢人に意地悪を言った。

『贅沢だな。何かって、何?』

『そうだなー。虹とか。』

『虹?さすがに、自然現象は“はい“って、用意できないでしょ。』


冗談で言った事も、真面目に答える賢人。

そこが、私のツボだった。


『じゃあ……青空をバックに、キスとか。』

『ハハハッ。いいよ。』

賢人が私を見つめる。

私も賢人を見つめる。

だんだん顔が近づいてきて、私は目を閉じた。