「後は、珠姫さんに任せた方が、いいみたいね。」

お母さんが嬉しそうに、お父さんに言う。

「そう、みたいだな。」

お父さんも、賢人に同意を求める。

ちらっと賢人を見ると、一瞬だけ、目が合った気がした。

「……うん。」

思わずズキッとなった胸に、手を押さえる事もできず、かと言って、良人を見る事もできず、私はただただ、布団の上だけを、ずっと見つめていた。

「じゃあ、珠姫さん。あと、お願いね。」

「は、はい!」

顔を上げた時、ご両親に挟まれて、無表情で去って行く賢人がいた。

「ぁっ……」

何か訴えたくて、声にならない声を出した。

それに気づいてくれたのか、賢人はすぐ振り返った。

「なに?」

「あ、あの……」

賢人は何かを察したのか、ご両親を先に返して、自分だけ戻って来てくれた。

「いいよ。連絡くれれば、家まで送るよ。」