『良人。今日は晴れてよかったね。』

『ああ、そうだね。珠姫の仕事も、無事みつかったし。よかった、よかった。』


あの時、車を運転していたのは、賢人ではなく良人。

大事な話があると言われ、何となく、検討はついていた。


『さあ、降りて降りて。ここ、いい景色なんだ。』

『もしかして、ここが目的?』

『一つ目はそう。』

山と曲がりくねった道、青空でさえ、私の気持ちをウキウキさせていた。

『うーん。気持ちいい!』

『どう?気に入った?』

『うん!でも、もうちょっと、何かあったらなぁ。』

私は、わざと良人に意地悪を言った。

『贅沢だな。何かって、何?』

『そうだなー。虹とか。』

『虹?さすがに、自然現象は“はい“って、用意できないでしょ。』