「お母さん……ご連絡、有り難うございました。」

「いいの。それよりも珠姫さん!良人のところへ、行ってあげて。」

言われるがまま、私はベッドサイドの側に行った。


そこには、賢人によく似た人が、人工呼吸器を付けて、横になっていた。

「珠姫……」

弱々しい声で、私を呼ぶ声。

震える手を、私に伸ばしたその人。

私は直ぐに分かった。


この人が、あの温泉に行った時に、一緒に写真を撮った人。

私の恋人なんだと……


「お医者様もね、目を覚ましたのは、奇跡だって言うの。」

お母さんは、泣きながら私に説明してくれた。


「賢人にもな。こんな状態で、珠姫さんに教えるなって、何度も言われたから、教えるのも遅くなってしまって。」