私に、結婚を約束している人がいる?

次々と聞かされる事実に、心がついていけない。


「疲れた?目が覚めて一日しか経ってないのに、いろいろ話したからね。一度寝たらいい。」

賢人は、私に布団を掛けてくれた。

「大丈夫。僕はずっと、珠姫の側にいるから。」

そう言って賢人は、ベッドサイドから立ち上がろうともしない。

「賢人。仕事は?」

「しばらく休みを取った。」

「大丈夫なの?」

「婚約者が交通事故にあって入院だなんて。気が気じゃなくて、仕事なんかしてられないよ。」


そんなに、私の事を心配してくれるなんて。

この人が、婚約者でよかった。

交通事故にあって、記憶喪失になった中での、唯一の救いかもしれない。


「ゆっくりお休み。」

「うん。」

私は賢人に見守られながら、眠りについた。