【主な登場人物】
［ひかる］既出
自称 僕
主人公の青年
本名『五色《ごしき》光《ひかる》』
自称は『僕』。
ヒロインの愛理栖《ありす》の天然な言動へはツッコミを欠かさない。
長野県に住むの新米天文物理学者。
２5歳 独身 A型。
長野県の天文観測所で働いている。
有名な科学者五色《ごしき》博士を父に持つ。
母は重い病気で長野市の総合病院に入院中。
母のお見舞のため、たびたび病院に行っている。
◇容姿
顔は中性的で前髪をおろした長めの髪。
背丈は同い歳の男子平均よりは低いが、
痩せているので細くスマートにみえる。
理系で知的な話し方をするが理屈っぽい。
顔や声については当人 曰《いわ》く、
①シスコンで、
②頭のいい眼鏡巨乳好きで、
③現在ドSツンドラ女子と交際していて、
④死んで吸血鬼になっている、
某男子高校生に似ているとかいないとか。
［愛理栖《ありす》］既出
自称 私
ヒロインの女子中学生。
正義感が強く周りの人達みんなの為には努力を惜しまない優しい性格。
たまに天然な言動をしてしまうときがあり、その度にひかるに鋭いツッコミを入れられてしまう。
本名は阿頼耶識《あらやしき》 愛理栖《ありす》。
長い水色の髪と栗色の瞳が特徴的な美少女。
まるでおとぎの国からきた妖精のような不思議な雰囲気《オーラ》を漂わせている。
［空《そら》］既出
自称 あたし
写真家をしているボーイッシュな女性。
本名は不明。
山で一人自給自足の生活をしながら大自然をテーマに写真を撮っている。
女性にしては短髪の髪を後ろで結い、
長袖のポロシャツにジーンズに登山靴と、
みるからに登山家を思わせる服装をしている。
正義感が強く、言い訳やズルい事を嫌う
愛理栖のおばさんとはまた別のタイプの男勝りな性格をしている。
［小学生の頃の空《そら》］new
自称 あたし
母を早くに亡くし、家庭は貧しく、父親からは虐待を受けていた。
［みどり］new
『空』の小学校の時クラスメートで親友。
穏やかな口調で話す心の優しい女の子。
飼育委員をしている。
［千佳］new
『空』が小学校低学年のときの学級委員の女の子。
真面目な性格。
—主な登場人物紹介 終わり—
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【あたしの親友】
話を少し戻す。これはあたしがみどりと仲良くなったときの話だ。
あたしは生まれてすぐに母を亡くし、家は貧しく父からは虐待を受けてきた。
その為かは正直わからないが、あたしは疑り深い性格に育ったと思う。
そして、あたしは幸せで何不自由無くぬくぬく生きている奴が本当に許せなかった。
あたしのクラスには千佳という名前の真面目な性格の学級委員の女子がいた。
その子は事あるごとにあたしが授業参観に保護者を呼ばないことや給食費忘れの件、借り物が多すぎることなんかを咎めてくる。
最初は我慢した。
だけど、誰にだって我慢の限界があると思わないか？
限界を超えたあたしは
学級委員の長い髪の毛を片手でギュー！
と激しく掴み、そして机に叩きつけた。
「ちょ、空……ちゃん？
痛ぁい、痛いよぉおお！！」
「千佳ちゃん、大丈夫！？
どうしよう！保険の先生呼ぼうか？」
クラスメート達に心配される学級委員の顔は大量の鼻血で真っ赤だった。
正直なところ、その時のあたしは学級委員の女子の心配をするどころかいいきみって思っていたんだ。
「テメーら、あたしに何か文句あるかー！！？
あー！？」
あたしはクラスのみんなの視線に耐えきれず逆上してそう叫ぶと、全員を鋭い眼光で睨みつけた。
『・・・・・・』
誰もあたしに意見する奴はいなかった。
その日以来、気がつくとあたしは千佳を目の敵にしていた……。
その後、あたしはクラスカーストのトップになった。
そして、あたしのことを悪く言う奴《《は》》いなくなった。
だけど、そのことと引き換えに
誰もあたしの前では笑顔を見せなくれない。
ある日、あたしはクラスメートから陰で悪口を言われているのを偶然耳にした。
「ねえねえ、貧乏神って体臭臭くない？」
「あ、わかるー！ 特に頭。
あのフケ頭、ホント勘弁して欲しいよねー！」
「こらこら、貧乏神に聞かれたらオレたちまで殴られっぞ！」
その日を境にあたしは誰も信じられなくなった。
だけど、それはある体育の時間のこと。
あたしは生理ということにしてその日の体育の授業は見学をさせてもらっていた。
もう誰の顔も見たくない。
あたしは外野で体操座りをすると頭を膝の下に深く埋め心の声で自分に何度も言い聞かせる。
（いいもん！！！
あたしは誰かに助けてもらわなくても、
自分一人で生きていけるもん！！！）
『ねえ？
ポンッ！』
『えっ！？』
それは突然だった。
あたしは背後から誰かに優しく肩を軽く叩かれている。
こんな、誰にも相手にされなくなった孤独なあたしのに……。
こんなあたしに声をかけてくれて、
手を差し伸べてくれるまるで天使のような女の子がいたんだ。
それは、［みどり］ちゃんだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【前回の話 『アートマン 心の壁』 の続き】
「その子は何か物を入れた白い袋を手に持っていた。
そしてその袋ごと焼却炉に捨て、 すぐに教室に戻って行った。
あたしは本当にショックでその子を後で問い詰めたけど
その子は何も話してくれなかった。
あたしは悔しくて悔しくてその子を絶対許せなかった。
死ぬ思いしてその子の為に買ったプレゼントが捨てられるなんて……。
次の日からあたしは学校に行かなくなった。
そして担任の先生からの電話で、その子が親の仕事の都合で急遽引っ越しをしたことを聞かされた。
『なぜいつもいつもいっっつも！ あたしばっかりこんなに辛く苦しい目に遭わないといけないの？
ねえ？誰か。教えてよ！教えろー！』
誰もいない公園で、 あたしは泣きながら声が枯れるまでひたすら心の内を叫び続けた。
一年後、
あたしの父親がある日を境に突然失踪した。
置き手紙も無く失踪の原因は今でもわからない。
あたしは農家をしている田舎の親戚の家に引き取られた。
そこでの暮らしは世間一般的に決して裕福と言える訳じゃないが、当時のあたしにとってはまるで天国のようだった。
友達もそこで新しく何人かできたが、友達と予定が合わないときは一人で近所の神社に行って一人物思いにふけっていた。
そしてある日、
そこでなつかしい友達に会った。
バナナの件で一度は絶交したその子に……。
あれから月日が経っていた事もあって、あたしたちは話をすることが出来た。
ここに来てその子から初めて聞かされてわかった事がある。
それはその子が果物アレルギーだったということ。
そして、あの日バナナはその子の家族で食べてくれていたということ。
あたしが果物でしかお返しが出来ないけどって条件付きで、
しかも強くあげるって食下がったから……。
それでついバナナって答えてしまったらしく、その子はあの時正直に自分の気持ちを言えなかった事を今までずっと後悔してたらしい。
『じゃあ、焼却炉に入れた白い袋は？』
『見ていたのね。 あれは校庭の池のゴミよ』
飼育委員のその子は自主的に池や行内のゴミを拾っていたらしい。 池の亀や魚が食べて死なないようにって。
あたしはそれを知った時、自分はなんでこんなにも自分の事ばかりで器が小さいんだろうって思ったんだ。
恥ずかしくて悔しくて悔しくてずっと下を向いて泣いていた。
そのとき、その子は言ったんだ。
『あたしわかったの。 この地球で一人の悩みを抱える事ができるのは自分一人だけじゃないよね？』
その子はあたしの手を取り抱き寄せながらそう言ってくれた。
『そして、 この地球で地球の素晴らしさを伝える事ができるのも自分一人だけじゃないよね？』
その子は地面に落ちている空き缶を広いながらそう言った。
『私はね、地球の生き物たちみんなが幸せに生きられるように自分にできる事をしたいの。
空ちゃんも私と一緒に頑張ってみない？』
私はその子の言葉に感激した。
その子は絵を描くのが得意でね、将来は絵で地球の生き物のすばらしさを伝えていくって言ってたよ。
『私は、絵は苦手なんだよな～』
『空ちゃん集合写真のカメラマン上手だよね？写真で表現してみない？』
『じゃあ私は、写真で世界中の人に地球の生き物の素晴らしさを表現していくね。
ありがとう、みどりちゃん！』」
～～～～～～～回想おわり～～～～～～～～
「これがあたしが自然界の生き物の写真を撮るようになった理由なのさ」
「いい！ほんとにいい話ですね～」
僕ももちろん感動したが、 愛理栖は豪快に涙を流しながらそう言った。
空さんは僕らに撮影した写真を何枚か見せてくれた。
空さんの写真には大自然で懸命に生きる野生動物達の活き活きとした姿が写っていた。
「ひかるさんこの写真みてください。子熊の赤ちゃん可愛いですよ」
愛理栖は興味津津(きょうみしんしん)に写真をみては僕に感想を求めた。
その後、空さんは僕たちに夕食をもてなしてくれた。
「この魚と鶏、美味しい！」
僕は空さんに感想を言った。
「ありがとうね。その魚は私が川で釣ったのよ。私が鶏も飼育しているのよ」
「空さん自給自足しているんですね。すごいですね！」
僕はお世辞では無く本当に驚いていた。
「動物だけじゃなくそのお野菜もほとんどが私の畑で栽培したやつよ」
「すごいです。空さんの暮らし憧れます！」
僕は意気揚々としていた。
「お嬢ちゃん食べれないの？」
「あ！ すみません。 ちょっと食欲が出なくて……せっかく作って頂いたのに本当にすみません」
「ひかるさんだっけ？ 代わりに愛理栖ちゃんの分食べてあげられる？」
「え？ 愛理栖が少し口をつけてますけど僕が食べちゃってもいいんですか？」
「愛理栖ちゃん？ 残りひかるさんに食べてもらっても大丈夫？」
空さんは愛理栖に聞いた。
「大丈夫です」
「あたしね、 出された食べ物は残さないほうがいいって言われるけど、それは作ってくれた人に迷惑をかけるだけじゃないって思うんだ。
生き物達は、 私たちが生き延びる為に料理になってくれたんだから。
ありがたいね」
空さんは僕らに向けて優しくそう言った。
それを聞いた愛理栖は顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。
「いただきました！」
僕らが夕食を食べ終わった後、
「そうだ！ あんた達に見せたいものがあるんだよ。
あたしの後ついてきな！」
空さんはそう言うと、 僕たちを見晴らしのいい高台へと案内してくれた。
［ひかる］既出
自称 僕
主人公の青年
本名『五色《ごしき》光《ひかる》』
自称は『僕』。
ヒロインの愛理栖《ありす》の天然な言動へはツッコミを欠かさない。
長野県に住むの新米天文物理学者。
２5歳 独身 A型。
長野県の天文観測所で働いている。
有名な科学者五色《ごしき》博士を父に持つ。
母は重い病気で長野市の総合病院に入院中。
母のお見舞のため、たびたび病院に行っている。
◇容姿
顔は中性的で前髪をおろした長めの髪。
背丈は同い歳の男子平均よりは低いが、
痩せているので細くスマートにみえる。
理系で知的な話し方をするが理屈っぽい。
顔や声については当人 曰《いわ》く、
①シスコンで、
②頭のいい眼鏡巨乳好きで、
③現在ドSツンドラ女子と交際していて、
④死んで吸血鬼になっている、
某男子高校生に似ているとかいないとか。
［愛理栖《ありす》］既出
自称 私
ヒロインの女子中学生。
正義感が強く周りの人達みんなの為には努力を惜しまない優しい性格。
たまに天然な言動をしてしまうときがあり、その度にひかるに鋭いツッコミを入れられてしまう。
本名は阿頼耶識《あらやしき》 愛理栖《ありす》。
長い水色の髪と栗色の瞳が特徴的な美少女。
まるでおとぎの国からきた妖精のような不思議な雰囲気《オーラ》を漂わせている。
［空《そら》］既出
自称 あたし
写真家をしているボーイッシュな女性。
本名は不明。
山で一人自給自足の生活をしながら大自然をテーマに写真を撮っている。
女性にしては短髪の髪を後ろで結い、
長袖のポロシャツにジーンズに登山靴と、
みるからに登山家を思わせる服装をしている。
正義感が強く、言い訳やズルい事を嫌う
愛理栖のおばさんとはまた別のタイプの男勝りな性格をしている。
［小学生の頃の空《そら》］new
自称 あたし
母を早くに亡くし、家庭は貧しく、父親からは虐待を受けていた。
［みどり］new
『空』の小学校の時クラスメートで親友。
穏やかな口調で話す心の優しい女の子。
飼育委員をしている。
［千佳］new
『空』が小学校低学年のときの学級委員の女の子。
真面目な性格。
—主な登場人物紹介 終わり—
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【あたしの親友】
話を少し戻す。これはあたしがみどりと仲良くなったときの話だ。
あたしは生まれてすぐに母を亡くし、家は貧しく父からは虐待を受けてきた。
その為かは正直わからないが、あたしは疑り深い性格に育ったと思う。
そして、あたしは幸せで何不自由無くぬくぬく生きている奴が本当に許せなかった。
あたしのクラスには千佳という名前の真面目な性格の学級委員の女子がいた。
その子は事あるごとにあたしが授業参観に保護者を呼ばないことや給食費忘れの件、借り物が多すぎることなんかを咎めてくる。
最初は我慢した。
だけど、誰にだって我慢の限界があると思わないか？
限界を超えたあたしは
学級委員の長い髪の毛を片手でギュー！
と激しく掴み、そして机に叩きつけた。
「ちょ、空……ちゃん？
痛ぁい、痛いよぉおお！！」
「千佳ちゃん、大丈夫！？
どうしよう！保険の先生呼ぼうか？」
クラスメート達に心配される学級委員の顔は大量の鼻血で真っ赤だった。
正直なところ、その時のあたしは学級委員の女子の心配をするどころかいいきみって思っていたんだ。
「テメーら、あたしに何か文句あるかー！！？
あー！？」
あたしはクラスのみんなの視線に耐えきれず逆上してそう叫ぶと、全員を鋭い眼光で睨みつけた。
『・・・・・・』
誰もあたしに意見する奴はいなかった。
その日以来、気がつくとあたしは千佳を目の敵にしていた……。
その後、あたしはクラスカーストのトップになった。
そして、あたしのことを悪く言う奴《《は》》いなくなった。
だけど、そのことと引き換えに
誰もあたしの前では笑顔を見せなくれない。
ある日、あたしはクラスメートから陰で悪口を言われているのを偶然耳にした。
「ねえねえ、貧乏神って体臭臭くない？」
「あ、わかるー！ 特に頭。
あのフケ頭、ホント勘弁して欲しいよねー！」
「こらこら、貧乏神に聞かれたらオレたちまで殴られっぞ！」
その日を境にあたしは誰も信じられなくなった。
だけど、それはある体育の時間のこと。
あたしは生理ということにしてその日の体育の授業は見学をさせてもらっていた。
もう誰の顔も見たくない。
あたしは外野で体操座りをすると頭を膝の下に深く埋め心の声で自分に何度も言い聞かせる。
（いいもん！！！
あたしは誰かに助けてもらわなくても、
自分一人で生きていけるもん！！！）
『ねえ？
ポンッ！』
『えっ！？』
それは突然だった。
あたしは背後から誰かに優しく肩を軽く叩かれている。
こんな、誰にも相手にされなくなった孤独なあたしのに……。
こんなあたしに声をかけてくれて、
手を差し伸べてくれるまるで天使のような女の子がいたんだ。
それは、［みどり］ちゃんだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【前回の話 『アートマン 心の壁』 の続き】
「その子は何か物を入れた白い袋を手に持っていた。
そしてその袋ごと焼却炉に捨て、 すぐに教室に戻って行った。
あたしは本当にショックでその子を後で問い詰めたけど
その子は何も話してくれなかった。
あたしは悔しくて悔しくてその子を絶対許せなかった。
死ぬ思いしてその子の為に買ったプレゼントが捨てられるなんて……。
次の日からあたしは学校に行かなくなった。
そして担任の先生からの電話で、その子が親の仕事の都合で急遽引っ越しをしたことを聞かされた。
『なぜいつもいつもいっっつも！ あたしばっかりこんなに辛く苦しい目に遭わないといけないの？
ねえ？誰か。教えてよ！教えろー！』
誰もいない公園で、 あたしは泣きながら声が枯れるまでひたすら心の内を叫び続けた。
一年後、
あたしの父親がある日を境に突然失踪した。
置き手紙も無く失踪の原因は今でもわからない。
あたしは農家をしている田舎の親戚の家に引き取られた。
そこでの暮らしは世間一般的に決して裕福と言える訳じゃないが、当時のあたしにとってはまるで天国のようだった。
友達もそこで新しく何人かできたが、友達と予定が合わないときは一人で近所の神社に行って一人物思いにふけっていた。
そしてある日、
そこでなつかしい友達に会った。
バナナの件で一度は絶交したその子に……。
あれから月日が経っていた事もあって、あたしたちは話をすることが出来た。
ここに来てその子から初めて聞かされてわかった事がある。
それはその子が果物アレルギーだったということ。
そして、あの日バナナはその子の家族で食べてくれていたということ。
あたしが果物でしかお返しが出来ないけどって条件付きで、
しかも強くあげるって食下がったから……。
それでついバナナって答えてしまったらしく、その子はあの時正直に自分の気持ちを言えなかった事を今までずっと後悔してたらしい。
『じゃあ、焼却炉に入れた白い袋は？』
『見ていたのね。 あれは校庭の池のゴミよ』
飼育委員のその子は自主的に池や行内のゴミを拾っていたらしい。 池の亀や魚が食べて死なないようにって。
あたしはそれを知った時、自分はなんでこんなにも自分の事ばかりで器が小さいんだろうって思ったんだ。
恥ずかしくて悔しくて悔しくてずっと下を向いて泣いていた。
そのとき、その子は言ったんだ。
『あたしわかったの。 この地球で一人の悩みを抱える事ができるのは自分一人だけじゃないよね？』
その子はあたしの手を取り抱き寄せながらそう言ってくれた。
『そして、 この地球で地球の素晴らしさを伝える事ができるのも自分一人だけじゃないよね？』
その子は地面に落ちている空き缶を広いながらそう言った。
『私はね、地球の生き物たちみんなが幸せに生きられるように自分にできる事をしたいの。
空ちゃんも私と一緒に頑張ってみない？』
私はその子の言葉に感激した。
その子は絵を描くのが得意でね、将来は絵で地球の生き物のすばらしさを伝えていくって言ってたよ。
『私は、絵は苦手なんだよな～』
『空ちゃん集合写真のカメラマン上手だよね？写真で表現してみない？』
『じゃあ私は、写真で世界中の人に地球の生き物の素晴らしさを表現していくね。
ありがとう、みどりちゃん！』」
～～～～～～～回想おわり～～～～～～～～
「これがあたしが自然界の生き物の写真を撮るようになった理由なのさ」
「いい！ほんとにいい話ですね～」
僕ももちろん感動したが、 愛理栖は豪快に涙を流しながらそう言った。
空さんは僕らに撮影した写真を何枚か見せてくれた。
空さんの写真には大自然で懸命に生きる野生動物達の活き活きとした姿が写っていた。
「ひかるさんこの写真みてください。子熊の赤ちゃん可愛いですよ」
愛理栖は興味津津(きょうみしんしん)に写真をみては僕に感想を求めた。
その後、空さんは僕たちに夕食をもてなしてくれた。
「この魚と鶏、美味しい！」
僕は空さんに感想を言った。
「ありがとうね。その魚は私が川で釣ったのよ。私が鶏も飼育しているのよ」
「空さん自給自足しているんですね。すごいですね！」
僕はお世辞では無く本当に驚いていた。
「動物だけじゃなくそのお野菜もほとんどが私の畑で栽培したやつよ」
「すごいです。空さんの暮らし憧れます！」
僕は意気揚々としていた。
「お嬢ちゃん食べれないの？」
「あ！ すみません。 ちょっと食欲が出なくて……せっかく作って頂いたのに本当にすみません」
「ひかるさんだっけ？ 代わりに愛理栖ちゃんの分食べてあげられる？」
「え？ 愛理栖が少し口をつけてますけど僕が食べちゃってもいいんですか？」
「愛理栖ちゃん？ 残りひかるさんに食べてもらっても大丈夫？」
空さんは愛理栖に聞いた。
「大丈夫です」
「あたしね、 出された食べ物は残さないほうがいいって言われるけど、それは作ってくれた人に迷惑をかけるだけじゃないって思うんだ。
生き物達は、 私たちが生き延びる為に料理になってくれたんだから。
ありがたいね」
空さんは僕らに向けて優しくそう言った。
それを聞いた愛理栖は顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。
「いただきました！」
僕らが夕食を食べ終わった後、
「そうだ！ あんた達に見せたいものがあるんだよ。
あたしの後ついてきな！」
空さんはそう言うと、 僕たちを見晴らしのいい高台へと案内してくれた。
