『ガチャっ…カランカランカラン…』
『いらっしゃいませ~何名様ですか?』
カフェの扉を開けると黒いエプロンを着けたポニーテールの女の店員がそう言って来た。
『3人です』
そう俺が答えると女の店員は
『では、此方のお席へどうぞ』
と、案内してくれた。
『ご注文、お決まりになりましたらお呼び下さい』
3人が座ると店員の女はそう言って立ち去った。
『あ、そう言えば何て呼んだら良いですか?
先程そちらの方が“うさ子”と読んでいたのでうさ子で良いですか?』
『あ、じゃあ、うさ子って呼んで下さい!』と、うさ子は笑った。
『あ、そう言えば年齢って何れくらいなんですか?』
と、うさ子が聞いてきた。
『24です』
『『え!?同い年!?』』
そう言って二人は驚いた。
『もしかして二人も?』
『女にそれ聞くのもどうかとは思うんですけど、まぁ、そうですよ』
と、お姉さんみたいな女が答えた。
『何か女慣れしてるっぽくて年上かと思ってました!』
と、うさ子が話す。
『いいえ、全然ですよ』
と、俺は苦笑いをした。
女関連で何か過去に有ったわけでもないが、逆に経験等が無さ過ぎて女の扱いに慣れていないのが現実である。
『それを言ったらそちらの…えーと…あ、紅夜さん?でしたっけ?』
『当たってます』
と、言いながら軽く紅夜さんが頷く。
『貴女も世話が得意と言うか保護者のように見えて年上かと…』
と、怒られそうな気がしつつも俺はそう言った。
『まぁ、一緒に居ればこうも成るし、それ、よく言われます』
と、紅夜さんは意外にも怒らずに呆れたような、疲れたような感じでそう、答えた。
『お察しします』
と、何か昔に有ったのかと思い、何だか可哀想に思えてそう言った。
『貴方もうさ子のハンカチ拾った時はそうだっただろうから分かるんですね』
『はいまぁ、』
と、重い空気に押し潰されそうに成って来た時に、うさ子は勢い良くこの空気を撥ね飛ばした。
『ねぇ、紅夜ちゃん!敬語辞めようよ!だってどうせこの3人は同い年なんでしょ?』
と、笑顔で紅夜に話しかける。
『それもそうね、それで良いかしら?』
と、紅夜は俺に聞いてきた。
『別に、俺は良いですよ』
まぁ、気にする事でもないし、と、俺はそう答えた。
『はい!じゃあ、3人とも敬語辞めよう!』
『じゃあ、俺は君を何て呼べば良い?』
『紅夜で良いわ』