しかしこれからは毎日八時間ずつ電気が使える・使えないと考えながら生活していかなくてはならない。
「いつ核弾頭が飛んでくるかわからない」という声と共に「核戦争なんて起こり得ない」という、楽観的な声もあるらしい。
ラジオの討論番組では、心配しすぎだという評論家の声ばかりが聴こえてくる。
授業を受けられない子ども達を心配して、通常通り登校させようという案も出ていた。
けれどもまだ危険だからという理由で実現されていない。担任の先生が二回、家庭訪問をしてくれただけだった。
一回目の家庭訪問では、学校で印刷された宿題の山を渡され、近況を聞かれた。
二回目は、ラジオで学年別の授業が放送されるようになるから、それで勉強するよう伝えられ、ラジオ授業用のテキストを渡された。
とは言っても、高校一年生の学習に割り当てられた放送時間はたったの一時間半しかない。
ないよりマシ、とりあえず学習させています、という実績を作るためだけのような気がした。