不穏な世界情勢の長期化は避けられず、今まで以上に資源を節約しなくては、冬を越せないという話だった。
石油資源の備蓄量は、その時点で残り二か月ちょっとしかなかった。
大幅な節電により、それを四か月程度まで伸ばしたいとのこと。
それまでにはサミットを開き、各国の協力体制を維持できるように努める、らしい。
そのために、八時間をひとつのサイクルとして、計画停電が行われることが決まった。八時間の停電の後、八時間通電、また停電……の繰り返し。
隣の自治体とはそのサイクルをずらし、緊急搬送される重病人はその時点で通電している病院へ運ばれることになった。
人工呼吸器などを使っている人は、バッテリーを二つ以上フル充電させながら耐えているという。
八時間というのは、一般家庭であれば、冷蔵庫の開け閉めを減らし、必要な電力は通電中に充電することで何とかやり過ごせる。
この時間は当然信号機も点灯しないけれど、そもそも車を使う人が激減したことで、お巡りさんが誘導しなくてはならないような交差点も数が限られる。