「舞原っ……!笑わらないで!失礼よ」

「ご、めん……でもさ……」

僕は口元をおさえ、こぼれだしそうになる笑いをこらえながら、高遠の絵を見つめた。

「かわいいから」

「なっ……!」

高遠が目を見開く。

わなわなと震えているが、怒りからというよりは恥じらっているように見えた。

なぜなら目尻がカアッと赤に染まったからだ。

「これさ、昔よく女子が持っていた文房具のキャラクターを思い出すよ。ほら、星がモチーフの双子の……」

水色とピンクの髪の男女のキャラ。 

あのキラキラふわふわしたイラストが目に浮かぶようだった。

(ちなみに僕は水色頭の男の子には、全くにていない……と思う)

言っておくが、僕は高遠の絵を馬鹿にしているわけでは一切ない。

むしろ可愛らしくて、(なんだか上からな言い方になってしまうが)上手に描けていると思う。

でもギャップだ。

あの高遠が、こんなにキュートでファンシーな絵を描くという意外性にすっかり負けてしまった。