『ナツノへ

突然だけど、手紙を書いています。小学生の頃は、メモ帳によくメッセージを書いて授業中に交換していたりしたよね。懐かしいなあ。中学になってからは、もしかして初めての手紙かな? どうしても伝えたいことがあったので、今こうして筆をとっています。

実は、今年の夏に、パパの転勤で海外に行くことになりました。行き先は、アジアのどこかみたい。詳しくは、私もまだ知らないんだけどね。

いつ日本に帰ってくるか、まだ決まってないんだって。もしかしたら、大人になるまで、戻ってこれないかもしれない。いきなりだから、驚くよね。正直わたしもとてもびっくりしています。

私のことが大好きなナツノだから、直接伝えたら泣いちゃうんじゃないかなあと思って、手紙にしてみました。そんなことを言いつつ、今書いているわたしも、泣きそうです。

思えば、ナツノとシュンと出会ってから、わたしは毎日がとても楽しかった。

ナツノはいつも私のことを頭がいいだとか、友達が多いだとか、すごく褒めてくれるけど、そんなことないんだよ。わたしはただ、親に言われたように勉強して、嫌われないように人に優しくしているだけなの。自分を持っていない自分のことが、時々とても嫌になる。

だから、いつも自分を持っているシュンとナツノのことが、すごく好きで、憧れだったよ。わたし、3人でいるのがすごく楽しくて、いちばん大好きな時間でした。ナツノとシュンに出逢えて、本当に良かった。わたしの人生の、最大のラッキーな気がするよ。

なんて、こんなこと、永遠のお別れみたいで変かな。自分で渡すのはなんだか恥ずかしくて、シュンに託すことにしました。怒らないでね。

SNSもメッセージも、海外からたくさん送るから、ナツノも送ってね。時差でうまく噛み合わないかもしれないけど、時間が合えばたまに電話もして欲しいな。ナツノが好きな甘いお菓子があれば送るからね。(ナツノの大好物なアイスは送れないけど)

最後に、ずっと、ナツノに言えなかったけど、わたし、ナツノのことが、本当に大好きでした。もしかして、勘違いだったらごめんね、でもきっとそうじゃないかなって思うから、思い切って書いています。嫌いにならないでね。

直接聞くのは難しいけど、手紙だと普段話せなかったことも話せるね。

ナツノも、私のことが好きでしたか?
(友情でもあれば、また違うニュアンスで受け取ってくれたら、わたしと同じ気持ちな気がします)


ハルカより』