「哀れな王女だな。愛しい王子に呪われたのか」
「そうだ。だが、この話には続きがある」
銀髪の青年は水色の瞳に笑みを浮かばせた。
「王女は知っていたそうだ。自分に向けられた憎悪の視線をね」
それでも彼女は本気で王子を愛していた。
青年はグラスを手にした。
「美しい姿のままでいられるダイヤに閉じ込めて欲しいと、逆に王子に懇願したそうだ」
そうすれば王子と共にいられる。
外の世界を知らない王女には、それが想う男への精一杯の愛情だったのだろう。
純粋すぎる想いだった。
しかしそれが長年に渡る戦や歪んだ愛が、いつしか彼女を呪いのダイヤへと変えていってしまったのだ。