「では、今から30分自由時間とします。
 適当にグループになって話し合いをしてください。

 それぞれある程度案が出たら黒板に書き出して、最後に実行委員の司会で出し物決定するよー」


 この、適当にグループになって、というのが昔から苦手だ。今も昔も、そしてそれはこれからも変わらないと思う。

 ある程度それなりに仲良しがいても、気がついたら仲が良いと思っていた友だちは他のもっと仲のいい友だちとグループを組んだし、それは偶然だと初めは思っていたのだけれど、回数を重ねるごとに自分に欠陥があることに気付かされる。

 グループなんて決めなくて良いからそのまま席について案を出し合えばいいのにと思う。その方が決まるしハブられる人間だっていなくなってみんなウィンウィンだというのに。前までは嬉しかった。今までなら隣の席の日野とふざけながらこんな日はトントン相撲とかしてたから。(ごめん先生)


───────────でも、今日は。


 席を立って騒ぎ出すクラスメイトの群れの中、着席したままちらりと隣を見る。

 椅子に斜めにもたれて黒板を見ていた日野と、ふと同じタイミングで目があった。


「ぁ、」

「日野く───ん」


 女子ならではのきいきい声におっ、と思った矢先、数人のスカートの短い子達が遠くで手招きをするのが見えた。
 頰をピンク色に染めた可愛い子達が、振り向いた日野にひゃ、と声をあげるのが聞こえる。


「一人なんでしょー?」

「ねぇね、ちょっとこっちきてよ。今いい案出てんの」

「助言プリーズ」


 なんのイベントがある訳でもないのに丁寧に髪を巻いた茶髪の女の子と、ストレートヘアの女の子、ショートボブの子がきゃいきゃい言いながら日野を求める。そうだ、こいつ地味に女子力高いの忘れてた。(決してモテるわけではない)


 かた、と席を立った日野が立ち止まって、振り返る。
 相手の上履きから順を辿って。目と目があったら、









 あっかんべーをされた。