「やめろって。何やってんだよ」


 満場一致で既決となったクラス出し物「アミューズメンテパーク」の件でだろう。

 その一つのアトラクション制作に使う資材調達に訪れていたのだろうに、女子数人に謎のうさぎの被り物(耳がピョコってなるやつ)を被せられた日野は、煙たそうにそれを払いのけた。


「えーなんでー。可愛かったのに」

「可愛いとかいらん」

「なんで!日野くんてさ、よく見たらほんと女の子みたいな顔してるよね!お肌すべすべだし、髪の毛サラサラ!どんなケアしてんのー?」

「あーもー鬱陶しい」

「「かわいーっ」」


 きゃいきゃいと四方からのお触りを許す日野に、すかさず壁に隠れた私は歯嚙みをしてギリギリと爪を突き立てる。おのれ日野。可愛い女の子にちやほやされやがって。羨ましいぞそこ代われ。

 ふぎいぃ、と念じていたらぺし、と日野が一人の手を叩いた。いたーい、と手をさする彼女こそ、日野を誘った張本人である立入さんだと、薮内くんが教えてくれた。

 立入さんはふーふー、と手の甲に息を吹きかけると笑う。


「日野くんもったいなーい。ルックス悪くないんだから、女の子には優しくしなきゃだよー」

「彼女いるし。…別れたけど」

「そこ!そこ大事!ホットニュース!はいどん!そもそもなんで足立さん?」

「うんうん確かに…あたしもそこ気になってた。別に悪くはないけど…取り立ててどう、って魅力あるわけでもないよね」

「うちらに彼氏いないのになんかふびょーどー」

「てことで教えてください!二人はどーして付き合ったんでーすかっ」


 言いたい放題だな、と目をぱちぱちしていたら。そこでふと、日野の目が虚空を舞い。

 やがて私と目があった。


 でも、止まった視線はぱっと逸れる。



「成り行き」



 ひど。


「ハイ出ました成り行き!てことは次の恋愛への移行はお考えでしょうか!?」

「そこに我々は候補として入れるんでしょうか!」

「ズバリ好きな女の子のタイプと髪型と食べもの仕草を教えてくだ」

「お前ら廊下で何やってんだ!!授業中だぞ教室戻りなさい!!」