店のドアが勢いよく開いた。
リュックをしょった、白髪の少年である。

「ただいまー!……あれ高竹さん。また何か事件?」

有秀が真吏の隣に座り、リュックをカウンター椅子に置いた。

「そういうわけじゃないわ。報告に来ただけ」
「あいつに会いに来たんだろう?」

どうやら有道から秀道に変わったらしく、意地悪い笑みを浮かべている。

「会いにって、誰に?」
「アキラル。鷹人だ」
「何でよ?確かに綺麗な素敵な子だとは、思うけど……」

志鳥にも今しがた似たような事を云われた真吏は、怪訝な表情を浮かべる。
青年との接点。
直ぐさま、肩に担がれた状況を思い出す。
年甲斐もなく顔を赤面させた。
一応、女ではあるし、あれは恥ずかしい。

「顔が赤いぞ」
「残念だけど違うわ。あとね、云わせてもらうけど。うるさいのよ、あなたは!かわいいアル君に変わりなさい」
「やだね。今から飯だ」
「お子さまランチ、オーダーしてあげようか?」
「あんたはそれの大盛りだろう?」

大人げなく一回り以上年下の学生と、視線の火花を散らす。

「でもね。鷹人君に会いたいのは、あるかな。既視感(デジャブ)を感じるのよね、あの子」

奥の厨房から背の高いスレンダーな黒髪の女性が姿を現した。
腕に縫合したような傷があり、それに真吏は見覚えがあった。