野球のキャッチボールもしてくれたし、一緒に風呂に入ったりもした。

僕はだんだん、父親ってこういうモノなんだと思うようになっていった。


そして、ある日の事だった。

「和弥、待ってるから。後から来てね。」

綺麗な着物を着た母親はそう言って、伊賀のおじさんと行ってしまった。

その時、祖母が泣いているのを見た。

「ばあちゃん。何で泣いてるの?」

祖母は涙を拭くと、僕を抱きしめた。

「可哀相な和弥ちゃん。」

そう言って祖母はまた、泣き始めた。


それがどんな事かも分からずに、僕は祖母の胸の中で、茫然としていた。

そして祖母に促され、家に入ろうとした時だ。


「和弥!」

母親の声が、聞こえた気がした。

僕は祖母の元を離れ、数百メートル走った。