司は俺を抱えて、病室に連れて来た。

目が見えないあの人は、さぞかし不思議に思っただろう。

泣きじゃくる男が、側に寄って来たのだから。


「どうしたの?あなた。」

まだ俺の事を、息子だと認識していないようだ。

「そんなに泣いて。」

あの人の伸ばした手が、俺の頬に触れた。

「そんなに悲しい事でもあったの?」

それを聞いて、また俺は泣いてしまった。


司はそれを見て、もらい泣き。

困ったのは、あの人だ。

「あらあら。大の大人がどうしたのかしらねぇ。」

おろおろしているあの人に、僕は告げた。