それ以降、私は和弥を気にしながら、生きていたような気がします。

他の兄妹達は、両親の元すくすく育ちましたが、和弥にとって親は私きり。

今、どうしているのか。

お金の心配はないのか。

元気なのか。

そればかり、考えていました。


街ですれ違う青年がいれば、振り返り。

ああ、和弥ではないんだと、思う日々。

ある日、義母が久しぶりに孫に会いたいって言ってきたんです。

「お祖母ちゃんが、会いに来ないかって。」

「電車で一駅でしょ?行くよ。」

子供達は、遠足にでも行くかのように、喜んで答えました。


それは正に、桜の舞い散る頃。

和志と妹の亜子が、電車に乗って、窓を開けた時でした。

私は一瞬で、その顔に引き寄せられました。