和弥を立たせて、埃を取ってあげました。

和弥は驚いたように、私を見た後、また下を向きました。

「何しに来た?」

「えっ?」

別れた時は小学生だったのに、すっかり大きくなった和弥は、もう別人のようでした。

「そんな綺麗な着物着て。俺を笑いに来たんだろう。」

「そうじゃないわ!和弥!」

「うるさい!!捨てた子供のところに、顔なんか出すな!!」

そう言って和弥は、私の前からいなくなってしまいました。


それからどう、家に帰ったのか、分かりませんでした。

茫然としていても、足が自然に家に向いたのかもしれません。

「お母さん、お帰りなさい。」

「お兄さん、どうだった?」

子供にそう聞かれて、涙がポロポロ出てきました。

「うぅ……」

そして私は、玄関先で泣いてしまいました。